研究課題名

現代日本の専門職化と性別職域分離に関する社会学的研究

研究代表者

坂無 淳（さかなし じゅん）

福岡県立大学人間社会学部准教授

研究概要

　本研究は、現代日本における専門職化の進展と性別職域分離について、その実態と原因の解明、是正策の提案を目的としています。方法として、具体的には以下の3つを組み合わせて研究を行っています。

• 研究1：専門職化に関する統計・理論研究
• 研究2：専門職へのインタビュー調査
• 研究3：専門職と性別職域分離に関する意識調査

以上から、現代日本の専門職化の進展と性別職域分離の実態・原因を明らかにし、その是正策を提案することを研究目的としています。

研究の目的と方法

　本研究では大きく以下の2つの問いを立て研究を行っています。

• 問い1：現代日本の専門職化は具体的にはどのように進んでいるのか。
• 問い2：専門職化の進展に伴い、専門職における性別職域分離は無くなっていくのだろうか。それとも残存あるいは新たにうみ出されていく性別職域分離があるのだろうか。

　上記の問いに対し、現代日本の専門職化の進展の実態の解明と、専門職における性別職域分離の実態と原因の解明・是正策の提案を目的に本研究を行っています。具体的には以下の3つを組み合わせて研究を行っています。

研究1　専門職化に関する統計・理論研究

　現代日本の専門職化と性別職域分離の実態を明らかにするために、各職業の人数や男女比について、行政の公的統計を中心にデータの収集と分析を行っています。公的統計としては国勢調査抽出詳細集計、就業構造基本調査、学校基本調査など、それ以外にも各専門職団体などの統計や資料などを参照する予定です。また、専門職化と性別職域分離に関する社会学的な先行研究を収集し、理論や先行研究の知見の整理を行います。このことから、研究課題の方針、研究成果の理論的・社会的な貢献点を明確化します。

研究2　専門職へのインタビュー調査

　専門職の性別職域分離の実態と原因を明らかにするために、実際にそれぞれの専門職についている方へのインタビュー調査を行います。主な調査項目は彼/女たちの個人のキャリア形成、各職業や職場における男女の職務や地位、他の専門職との関係などを予定しています。そこから、各専門職の性別職域分離の特徴や職業観での共通点と相違点を考えていきます。

研究3　専門職と性別職域分離に関する意識調査

　専門職のクライエントとなる一般の人、また子育て中の親に対して、Web調査を行い、専門職とジェンダーの結びつきに関するイメージ、子どもの進路としてのイメージを聞き、統計的な分析を行う予定です。例えば女性医師や男性看護師にはどのようなイメージが持たれているのか、各専門職に対する子どもの進路としての親の評価はどのようなもので、その評価は子どもの性別によってどう異なるのかなどを分析し、専門職のイメージと性別職域分離の現状とその原因の一端を明らかにする予定です。

Acknowledgment(謝辞)

本研究はJSPS科研費JP23K01754の助成を受けたものです。